便の色が灰色の時の特徴まとめ
便の色が灰色、とはどんな状態でしょうか。
イメージしにくいかもしれません。完全なグレーというよりも白っぽさが混じった、いわゆる灰白色という状態が多いと思われます。
物を燃やした後の灰や火山灰のような色味、というと想像つくでしょうか。
便が灰色、という状態の時はほぼ間違いなく病気が隠れています。
しかも緊急的に受診しなければならないことも少なくありません。
一体、どんな病気が隠れているのかみていきましょう。
ウィルス性腸炎の影響で灰色になる
ウィルス性腸炎は生命に直接影響があることはありませんが、ひどい下痢を伴い、脱水症状になることもよくあります。
何の影響なのか鑑別も必要ですし、なるべく早めに受診した方が良い状態です。
ウィルスを完全に排出するまでは、水様性の下痢が続きます。
安易に下痢を止めようとするとウィルスが体内に留まってしまうので良くありません。
随伴する発熱などの症状に対応しつつ脱水に注意して、下痢や灰白色の便が止まるのを待ちます。
ウィルス性腸炎のほとんどは乳幼児がかかりやすい病気で
- ロタウィルス
- アデノウィルス
などが原因菌となります。
大人・子どもに関係なくかかるのはノロウィルスなどです。
ロタウィルスは乳幼児が冬の時期(1月~4月の流行が多い)にかかりやすい代表的な冬期の下痢症です。
一人の子どもがかかると大抵他の子どもにも伝染し集団発生しやすいウィルスです。
突然の嘔吐や下痢から始まりますが、その時の便は最初は「なんだか色の薄い便だな」と感じる程度です。
発熱を伴うこともありますが、一番問題なのは水様便になるので脱水状態になることです。
脱水がひどいと高熱になったり、けいれんや脳症を伴うこともあります。
ひどい、且つしつこい下痢で便が灰色っぽいと思ったら早々に病院へ受診と心がけておいてください。
下痢はかなりしつこく続きます。家族内で伝播しないように、便の処理や手洗いなどの徹底が必要です。
アデノウィルスは51種類あり、呼吸器や消化器など感染経路も様々あります。
代表的なものは目の粘膜からの感染で、いわゆるプール熱として高熱や結膜炎を伴うものです。
胃腸炎を起こすタイプは40・41型のアデノウィルスで、3歳以下が特にかかりやすく、下痢を伴います。
乳幼児が下痢になるタイプの感染症は多くありますが、大抵は冬場の流行が多いのですが、アデノウィルスは夏場の流行が多く報告されています。(最近は季節問わずの流行も多くなってきました)
特徴として、水様性の下痢でお腹の痛みを伴い、かなりしつこい期間続きます。
発熱は微熱程度で随伴する症状は多くありません。
嘔吐もそれほど多量・頻回ではないでしょう。重症化は少なくてもしつこい下痢が続きます。糞便の始末から感染することも多いので、おむつの処理や手洗いに要注意です。
ノロウィルスは冬期(11~12月)に集団発生しやすいウィルスです。子どもがかかって、親がもらうことも多く、家族全員が嘔吐下痢で倒れたなどということも少なくありません。
集団生活の中で、食中毒として集団発生することもあり話題になることも多いでしょう。
下痢は白っぽく灰白色になり、嘔吐を伴います。
食中毒では食べた後12~48時間後に症状が出ます。冬の初めごろに嘔吐・下痢の症状が現れたらノロウィルスを疑います。
受診するとともに伝播力が強いので、移しあわないように気をつけなければなりません。
通常は数日で警戒しますが、脱水などが強くなるとけいれんなどを起こしやすくなるので気をつけなければなりません。
コレラの影響で灰色になる
コレラは生命に関わる重症感染症で、疑われたら緊急受診するものです。ただ、日本人にはなじみの薄い病気かもしれません。
名前は聞いたことがあっても「自分がかかることは無い」と思っている方も多いでしょう。確かに流行地域は熱帯や亜熱帯の開発途上国で衛生状態の悪いところに多くみられます。
ほぼ100%の水洗トイレとなった日本での自然発生はあまり考えられません。そういった地域に行った時に感染してしまうことはあります。
重度の感染症で、かなり重い下痢が代表的な症状です。激しい灰色の水様便と嘔吐が続き、水分補給が叶わないと1時間に1ℓ以上の水分と塩分が失われてしまいます。
こうなると
- 脱水からくるショック
- 塩分を失うことによる電解質異常(心臓などの重要臓器の筋肉の動きが狂ってしまう)
が起こり、対処が遅くなったり対応を誤れば生命に関わります。
胆嚢の病気の影響で灰色になる
胆嚢の病気による灰色の便は、病気がある程度進行しないと出ないかもしれませんが、早々に受診して治療すべき状態です。
灰色の便になる胆嚢の病気とは「胆のうがん」や「胆のう炎」などです。この病気の影響で便が灰色になることがあります。
胆汁という消化酵素を貯めておく胆嚢に異物ができたり炎症が起こることによって胆汁が便中に排出される経路が阻害されます。
経路が阻害された影響で、便の色の元である胆汁の「ビリルビン」という要素が体内に留まることが原因といえます。
そのため便が灰色になる代わりに、排出されなかったビリルビンが黄疸として眼瞼結膜や顔色が黄色く見えてきます。
まとめ
灰色便は体からの病気のサイン!ということがご理解いただけたでしょうか。
便の色が異常になることは食べた物や、飲んでいる薬などの影響で有り得ることもあります。
その中で灰色の便は、看過できない病気からきていることがほとんどです。
見過ごして良いものではありません。
早期発見できれば重症化しないで済むこともあります。
灰色便は、すぐに医療機関を受診することを心がけてください。